2025年9月19日金曜日

Tリーグの試合を観戦しました 9/14 日本ペイント 対 九州カリーナ (大田区総合体育館)

9月14日(日)、東京の蒲田にある大田区総合体育館で開催された日本ペイントマレッツVS九州カリーナのTリーグの試合を観戦しました。



会場の大田区総合体育館は、京急蒲田駅と京急梅屋敷駅の間ぐらいに位置しておりました。
JRの蒲田駅からだと結構歩く距離で、幹線道路沿いではあるものの、繁華街から閑静な住宅街へ切り替わるあたりの割と外れの雰囲気を纏った場所にあります。

施設としてのスケールはパッと見そこそこの規模の市なら1つは持っていそうなどこかローカル感のある体育館という印象。ただ、観覧席とコートの距離感が近く、興行をするには向いているデザインをしているとは思いました。

自分は4000円払って前売りの1F自由席のチケットを取ったんですが、これはホームとアウェイ共通になっていて、どちらに座っても良いことになっていました。マナーのことを考慮しなければ、試合中にホーム側とアウェイ側を行き来することも出来そう。
ちなみに、1Fといっても卓球台のあるグラウンドレベルではなく、実質2Fのような高い位置にある席です。

3F部分的な高さのところから会場へ入るような形になるのですが、2F自由席エリアから1F自由席エリアへ移動する際だけ、1Fと2Fを分ける区切りの出入り口ゾーンに配置されたスタッフがチケットをきちんと確認するようになっています。

なので、2000円の2F自由席のチケットでズルして1F自由席で観ようとするのはチェック機能の関係で難しいものの、逆に、1F自由席のチケットで2F自由席から観戦することは可能そうでした。これもモラル的にどうなんだという気はしますし、そもそもわざわざ1F席のチケットを持っているのに2F席で見る人がいるのかと思う人もいるでしょう。

実は、1F席はやたら硬い木で出来た長ベンチのような作りで、背もたれもないんです。とにかく座っているとお尻が痛いし、卓球を観に来たはずなのにお寺に修行に来たかのような感のあるきつさがありました。

2F席も基本的には1Fとあまり変わらないんですけども、背もたれがあるんですよ。この差は小さくないように思えました。

いずれにせよ、今回のTリーグ観戦で、次回以降はクッションを持参するか、もっと高いお金を払って椅子に座ることの出来るプレミアム席にした方がいいと学びました。

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試合開始時刻は14時で、開場時刻は12時30分でした。
自分は、開場してから10分から15分程度経ったあたりに入りましたが、ちょうどアウェイチームの九州カリーナの選手たちが入ってきて公開練習が始まりました。
ファンサービスの意味合いが強いのでしょうけども、選手たちのハイレベルな練習の様子を楽しむことが出来ます。このあたりはYoutubeのライブでは配信されないので実際に足を運んで観戦するのであれば早めに会場入りするのがおすすすめです。

20分から30分ぐらいずつ、アウェイチームとホームチームの公開練習がそれぞれ行われると、今度は試合開始の時間までホームチームである日本ペイントマレッツによる余興が始まりました。

今回の余興の内容は、観客参加型のクイズと、実際にプロの選手と試合の台を使って打ち合えるゲーム形式のものでした。

卓球ゲームは、村松心菜チームと高森愛央チームに分かれて参加者の観客がそれぞれの選手と打ち合うもので、事前応募型でしたが、応募するだけ合って参加者の方は卓球の経験のありそうな方が多く、見事なラリーを繰り広げていました。

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余興が終わると、選手入場を経ていよいよ試合開始。

第1試合のダブルスはキム・ナヨンと小林りんご(九州カリーナ)ペアが急造ながらもそれが奇襲として成功したのか相手の芝田沙季・青木咲智ペア相手に1ゲームを奪って期待を抱かせたものの、最終的には試合巧者の芝田・青木に敗戦。

ここまで今シーズン0勝4敗と苦戦を強いられている九州カリーナに頼れる助っ人としてキム・ナヨンが電撃参戦。
強いだけでなく、スラッとした高い身長が目立ち、ルックスにも優れたナヨンと小林りんごのペア、噛み合わせ自体はどうかなと感じたものの、華のあるものになっていました。
実力と同時にタレント性も重視していくという九州カリーナのコンセプトに見事にマッチしたキム・ナヨンのお披露目会とテスト的な意味でダブルスとシングルスの2点起用だったのでしょう。

第2試合の青井さくらと横井咲桜の二人のさくらによる対決は横井咲桜が格の違いを誇示するかのような圧勝。強豪の筑波大学でエースとしてチームを引っ張る青井さくらがTリーグではここまでシングルス3戦全敗。いずれに相手がかなりの強敵だったとはいえ、奪ったゲーム数はわずかに1というのは寂しく、まだ輝きを放つことができていない。
今回の試合の終盤では悩みのあるプレーに映っただけに、なんとか良い流れで繋ぐなどして彼女の良い部分をもっとアピールしやすい環境を整えてあげてほしいところ。

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第2試合の後、ハーフタイムを挟んで第3試合へ。
お待ちかねのキム・ナヨンがシングルスに登場。対戦相手はカットマンの佐藤瞳。
いきなり2ゲームを連取された時には、九州カリーナの応援席から観戦する自分も、マッチカウント0-3という冷え冷えの状態で第4試合を見ることも覚悟しましたが、ここからナヨンが見事にアジャストし、執念の逆転勝利を挙げ、会場を盛り上げる。
ナヨンの実力があってこその勝利なのは勿論だが、専属のコーチがついていて、試合中の修正が高いレベルで行えるというのはやはり影響が大きく、もしかしたらこのあたりは他のカリーナの選手の場合のベンチワークとの差があるのかもしれないと感じた。

それとこの試合についてはもう一つ付け加えておきたいのは、試合の最中にマレッツ側の応援席にいた酔っ払い集団のおっちゃんが、佐藤の返球後に、度々大きな声を発していたことだ。
「うまい」といったポジティブな表現ではあったものの、リズムを無視して不意に声が発せられるから反対のカリーナ側の席にいた自分ですら少し気になってしまうことがあった。
百戦錬磨の佐藤瞳のこと、こういうのは慣れっこなのかもしれないが、返球の間が長くなりやすい己のカットマンというプレイスタイルが齎した雑音が何らかの形で佐藤とナヨン両者のパフォーマンスにわずかにでも影響していたのなら残念だ。

ただ、興行としてのスポーツというのは、食事や飲酒をしながら何も考えないで気軽に観ても「おっ」と驚きがあったり、「あっ」と思わず声が出そうなぐらいの方が娯楽として優れているし、そういうのがないと成り立たないんじゃないかと自分は考えているので、佐藤がそれだけ人を魅了するほどの優れたプレーを披露してくれたことを称えたい。

いずれにせよ、ここでナヨンが勝ってくれたことで、何とか望みを繋いだ九州カリーナ。
ナヨンの気迫を受け継いで第4試合に登場したのは野村萌。
自分がこの試合とビクトリーマッチを連取すれば今シーズンの初勝利となるシチュエーションに燃える野村の前に立ちはだかるのは、柴田沙季。
卓球界の貴乃花と呼んでもいいぐらい、常に一生懸命でガチっぽくプレイする姿が特徴的で、若手のお手本のような存在になっているだろう芝田との間で行われた試合は第3試合同様白熱するが、最後は九州カリーナのエースの座は渡さないといわんばかりの野村萌の気迫がわずかに勝る。

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ビクトリーマッチは、両チームの試合カウントが2-2のケースで勝敗を決するために行われるエクストラの試合で1ゲーム1本勝負。

カリーナ側は当然のように体が温まっていて勢いに乗る野村萌。
日本ペイントマレッツは横井咲桜。一番強い奴が当たり前のように出てきた。

実は第4試合の最中に横井と青木がマレッツ側のベンチにいなかったので、VM突入なら横井かなとは思っていたが、以前に木下戦のVMで青木を起用したことがあって、その時に、マレッツの大嶋由美監督が将来への投資と語っていたのを聞いて、良いこというなあと思ったし、青木がダブルス起用というのも、この時のための布石のような気もしたが、やっぱり締めは横井咲桜が登場。
メイショウタバルを浜中俊から武豊に乗り替わりさせて宝塚記念を獲るかのような鬼の所業、非情な采配。

でも、野村萌も頑張った。マッチポイントまでは先に到達した。ラッキーパンチでも何でも当たってくれと少し夢見た。
結局、デュースの末に負けたものの、Tリーグ、他のメジャー競技観に行った方がたぶん楽しめるけど、近くでやってたら行ってみるとちょっと楽しいよと人に言えるぐらいにはエキサイティングだった。ありがとう。

カリーナ側のベンチに入っていた山室早矢が声を出して応援する姿も印象的だった。
いつかVMの戦術オプションで山室早矢や小林りんごというカードがあるから相手がVMの起用選手に悩む、そんなチームにカリーナがなることを、そしてTリーグが外野から監督の采配や選手起用にあれこれ言いたくなるような面白いにリーグになることを願いながら。