ICHIRAN3選 1330円
客が店員とあまり接することがなく、味集中カウンターと呼ばれる仕切りで周囲から隠された空間で食事が出来るシステムがウリなことから、セルフの松屋のような感じで接客のレベルにはあまり期待してなかったのですが、これは大変に失礼でした。
様々な独特のシステムに不慣れな客や日本語が苦手な外国人の客が来ても大丈夫なようにマニュアルや教育が徹底されているのであろうことが伝わってくる丁寧な接客と、そして丁寧な接客と共にお通しのような感覚で早速供された、とても剥きやすいゆでたまごの時点で、ラーメンを食べる前に既にこの店が多くの人から支持を集めるのが分かるこだわり具合が分かりました。
とんこつラーメン自体はくさみのない、甘さのある丁寧なスープで、博多らしいちょっと乾麺ぽいというか、芯がわずかに残ったようなほんのり硬い食感の細麺がよく合いました。チャーシューはトロトロとはまた違うホロホロの柔らか系。薄さやサイズも影響してるのかもしれませんが、ほんの少しハムっぽいのが気になります。
若干、麺の量が控えめにも思ったので、男性なら替え玉が欲しくなるところ。
そう考えると世間で言われているように強気な価格でコスパはあまり良くない、となるのかもしれませんが、そのような思いを抱いてしまうのは、ありがたいことに美味しいラーメンをもう少し安い値段で提供してくれる店が近くにあることが珍しくないを我々が知っているからでしょう。もっと言えば、それらの店と比べて、また食べたいと思えるほどの絶品さは残念ながら感じませんでした。
ただ、店の入りやすさ、居心地の良さは間違いなくそこらへんの個人のラーメン屋では真似できないレベルのもので、提供される接客や空間などのサービスまで含めて一杯のラーメンとするならば、至高といって良いレベルなのではないでしょうか。洗練されたユニバーサルなシステムは外国人ウケも頷けます。
替玉シールの貼られた灰皿みたいな容器を呼出ボタンに置くと店内にチャルメラ流れて勝手に替え玉が来ます。硬さが基本の状態でやってくるので、最初の好みのオーダーでは、硬めに挑戦しておくのがおすすめ。
一蘭は女性客も多いと聞きますが、この替え玉システムで、お代わりを口頭ではなくても頼めるのは、味集中カウンターと相まって「女性」には確かにありがたいシステムかもしれないし、「女性」が入りやすいということは様々な属性の方にもきっと入りやすいのだろうと唸らされました。
出州港店は40席全てが「味集中カウンター」でテーブル席がないようなので、グループでの食事だと不便に感じるかもしれません。仕切りの奥行き自体は浅いので、普通に椅子に腰掛けて横を向くだけで隣の人と顔を合わせて話すことは可能です。逆にいえば、その程度の疑似個室感ではあります。
ただ、カウンター内部だけだとしてもパーテーションが物理的に強固なので、やや窮屈さも感じました。体格の良い人は特にぶつかって大変な思いをするかもしれません。
このへんの席の「かたさ」は長居をせずに食べ終わったらすぐに席を立ってくださいという店側からの強いメッセージにも伝わり、非常に居心地が良い接客と空間サービスとの間でややギャップもありましたが、お店としては苦肉の策でもあるのでしょう。
水はセルフ。蒙古タンメンのようにコップが大きく、「秘伝のタレ」でラーメンを辛くしても水を注ぐのに1回席を立つだけで済むように配慮されているのは嬉しかったです。
ラー油やにんにく、こしょう・お酢などの卓上調味料が存在しないので、最初の好みのオーダーでうまく味を調節する必要があるのはちょっと上級者感があります。
お好みの秘伝のタレを混ぜるとなかなかの辛さにスープが変わりますが、最初から丼中央の麺の上に載せられており、食べているうちに自然と混ざっちゃうので、インスタ映えを捨てて、別皿提供か、丼の隅の方に秘伝のタレを置いた方が良いんじゃないかと思いました。
出洲港の一蘭、コロナの影響で営業時間の短縮が続いていたようですが、最近また24時間営業に戻ったようです。