天ざる 2013円
店内に入るとちょうど多くの方のレジを対応している最中で、席案内まで少し待ちました。どうやら接客は給仕1名、レジと調理補助1名の2名で店を回しているようで、他にも片付けなど色々やることがあるのか、手早く客を捌くのになかなか四苦八苦されている様子。
席について、テーブルとお座敷どちらがよろしいでしょうかと聞いてくださります。一人用のカウンターはなさそうだったので、テーブルを選択。
店内に風格をもたらす一つの要素になっている重厚長大なテーブルで、上に透明な小さい仕切りで2分割に仕切られていました。きっと大人数のグループなら1つのテーブルとしても利用できるのでしょう。店内に一人客は自分以外ほとんどおらず、複数人のグループ客ばかりでした。
仕切りが置かれているとはいえ、同じテーブルに他の客が既に座っている際、店員さんは相席になることについて確認しているようです。
接客も店内の装いも丁寧なのだけど、微妙に洗練されていないこの店で、蕎麦も食べたいしできれば天ぷらも食べてみたい気分、ということでここは奮発して2000円する天ざるを注文してみました。
週末土曜とはいえ、雨の降る昼過ぎ。それでもそれなりに店内は客で賑わっており、他の客の注文を耳にする限りでは、鍋焼きうどんが人気のようでした。この日は前日までの陽気から一転、冬に逆戻りしたような寒さだったことも影響しているのでしょう。
配膳された天ざるの蕎麦は、なんとも立派なそば皿に盛られており、しかもこれが2段になっています。サイズは小さいとはいえ、1枚だけでもそれなりに食べごたえがありました。
コシのある良いものを食べた気にさせていただける美味しい蕎麦ですが、すごく濃厚さや香りのあるものかといえば、そのあたりはややカジュアル寄りにも感じます。
蕎麦つゆが辛すぎずスマートで、蕎麦湯で割った時にすごく飲みやすく、最後まで美味しくいただけるような配慮があったのは嬉しかったです。
天ぷらは揚げたてサクサクでその軽やかさに大きな驚きがありました。きっと技術と油がかなり優れているのでしょう。一方で、素材は悪くはないとは思うものの、コクはあまり広がらず、温かい天つゆをつけたり蕎麦と合わせてようやく良さを発揮する淡白さがあるように思いました。
全体的にはやや店の優しさが出すぎているかなとも感じましたが、質の高い美味しいお蕎麦と天ぷらをいただくことが出来ました。
茂原街道沿い、湿津小学校向かいにある潤井戸まつや。子どもの頃に行った以来、お店に入りました。代替わりが何回かあったという話も聞きましたし、店の営業時間も不明でしたが、現在は11時から16時までお店を開いているみたいです。平日はお得なランチセットもあるのだとか。
この近辺でお蕎麦屋といえば、昔からやはりまつやでした。子どもの頃にここへ連れて行ってもらえると蕎麦が大好きな自分は嬉しかったものです。もうあの頃のまつやの味がどうだったか自分はすっかり忘れてしまっている状態でしたが、店の中の雰囲気、内装はほとんど昔のままだったと思います。
何ともいえない懐かしさがここにはあって、もしかしたら少なくない客がその空気を吸いに来ているのかもしれないけれど、でも、それだけじゃない、現在でも通用する確かな美味しさがある、だから人気なのだと納得させられました。